音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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時間の翼 / ZARD (2001)

大野愛果を作曲家として積極的にフィーチャーして作られた9th。廃盤とのこと。

tr.1からして完全に打ち込みサウンドに転向。ZARDを作り出すイメージは坂井泉水のボーカルだけに任せて、音楽面では時代に合わせた路線に切り替えようとする意向が伺える。これまでのZARDを作り上げてきた葉山たけしのサウンドメイキングが、坂井泉水に新しい環境を与えていることが象徴的。

全体的なアレンジもこれまでにない打ち込みやコーラス、ラップ、曲によってはがっちりと作り込んだトラックを採用と、前作に引き続きZARDの定着したイメージを解体させる作品。ビーイングの中でも倉木麻衣とZARDをツートップにしようとする意向があったのではないか。そのためには既定路線での延命よりは、時代に沿った音作りが必要ではないかと考えたのではないだろうか。

通して聴いてみても、メロディが持つ力強さ、丁寧さには欠ける印象。大野愛果が一人気を吐いている感はあるが、この時期のビーイングを支える人物である以上、当然の結果とも言える。いかにZARD全盛期の作家陣が力ある仕事をしてきたかが反面教師的に見えてくるのは残念な結果と言わざるを得ない。

tr.10とtr.11のリミックスバージョンはあくまでもオマケな仕上がり。なんとなくこの作品が廃盤になった理由も見えてきそうな気がする。