ふと思い立ち、本棚に10年間眠らせていた吉田秀和先生の著書を取り出し、床に転がって読み始める朝。
そして、その日本語と表現の美しさに、四分の一も読み進めないうちにノックアウトを喰らう。
「死を(中略)生からの解脱と考えた、あるいは死との和解の印である」
これでノックアウト喰らわなかったら嘘だ。
ここまで美しい表現に直面すると、いかに自分の文章が屑で紛い物であるかがよく分かる。かと言って、書くことをそこで放棄してはならないのだろう。書くことで得ることが出来る何かがあるのだから、そうである限り書き続けるしかない。
吉田先生の著書をもう少し掘り下げて読んでみようと思う。
あとは常に何かに興味を持ち続けること。自分の中の感動に素直であること。そう言った要素も必要なのではないかと。感動する感性が鈍磨してしまっては、何かを生み出すことは出来ない。感動はどんな些細なところにでもあるものだから。そして感動に揺れ動く心を大切にすること。心のひだをいかに深く広く保つかと言う、もしかしたらそれは、人生の折り返し地点を通った自分における今後の課題なのかもしれない。
でも、それはとても難しいことだよね。
- 作者: 吉田秀和
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/02/05
- メディア: 単行本
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