ヴァンスカのシベリウスには、憑き物が憑いていない。
清冽でありながらも決してスタイリッシュには陥らない。シベリウスの語り部として軽薄にもならない。バランスの取れたシベリウスを堪能することが出来る。
シベリウスを注意深く観察しながらも、研究者にはなっていないと表現してもよいか。上澄みを上手にすくい取って演奏に繋げている。
従って、聴き手である自分には、純粋にその音楽に没入することが出来る。音を音としてのみ捉えることを許してくれる。
そこがヴァンスカのシベリウスを好んで聴く理由。もちろん指揮者各々の解釈の差異を見るのにも面白い作曲家ではあるのだが。