筒美京平のメロディとサウンドプロダクションの凄みばかりに耳が行きがちな作品なのだけれども、岩崎宏美が持つ歌唱力の凄みにも触れておかないとね。
大人びたボーカルと片付けるのは簡単なのだけれども、そこにあるのは大衆性を帯びた妖艶さなのだよね。それは一歩間違うとこの当時のB級シンガーの下世話な艶やかさになってしまうものなのだけれども、岩崎宏美はそうはならずにあくまでも一流の妖しさを保つことに成功している。
どことなくオリエンタルな言葉の響きを持っていることも、そうさせている勝因ではないかと。
メロディ良し、サウンドプロダクション良し、そしてボーカリゼーションの素晴らしさと、三拍子揃ってこその本アルバムではないかと。