ブルックナー交響曲全集より。
パーヴォ・ヤルヴィの描き出すオーケストレーションは、旋律や楽器と言った楽曲の中の主人公を捉えやすい特徴があるのだと、このブルックナーを聴いて改めて思い知らされた。
オーケストラのためのオーケストレーションであるだけでなく、聴き手を決して置き去りにしない、リスナーズフレンドリーに構築され演奏されているところに、自分は好感を持っていたのだなとも。
そのことが楽曲の持つチャームを引き出し、教えてくれることにもつながり、そしてたとえそれが難解であると言われるブルックナーであったとしても、聴きやすい、分かりやすい印象を残す結果につながっている。
これまで聴いてきたブルックナーにおいても、もちろんそのように作り上げられたものはあるが、パーヴォ・ヤルヴィの作り出すそれは、より聴き手に寄り添った、楽曲を提示する技量がいかんなく発揮されているブルックナーとして愛聴出来ること請け合いであると、一聴き手である自分が得も言われぬ自信を持ったこともまた事実である。
ブルックナーは決して、指揮者やオーケストラや一部のクラシックマニアのためだけの音楽ではない、と。