ラロ、サラサーテ、ブルッフのヴァイオリン協奏曲を集めたディスク。ルノー・カピュソンをサポートするのは我らが(?)パーヴォ・ヤルヴィとパリ管。
ルノー・カピュソンを初めて聴いたのはバルトークのヴァイオリン協奏曲集だったのだけど、あれは内容が難解で正直な所何か感想を述べるというレベルまで自分が達していなかったのは事実。
ところが、このディスクで聴ける3者のヴァイオリン協奏曲は、非常に聴きやすく、またヴァイオリンの旨味を十二分に引き出す楽曲たちで、聴いていてなかなか豪華な時間を過ごすことが出来た。
ラロで聴ける氷上を滑るトップアスリートのような美しさと、エッジで氷を刻みつけるかのごとく演奏は、とにかく迫力十分。高音域の滑らかさが主体であることも、ヴァイオリンの音の持ち味を発揮している。さり気なく「なにこれ?」と思わせる技巧の高さを披露しているのも素晴らしい。そしてオーケストラも存分に歌いまくり、聴いている間に飽きを感じさせることがなかった。
ブルッフは一転して、中音域主体の旋律。ラロを聴いたあとでは若干地味に感じられる要素もあるけれども、いやいや、こちらもまたオーケストラが奮闘していて、その上に乗るカピュソンがこれまた美味しい音を聴かせてくれる。
これは面白いディスクを発掘したと、聴き終わった後に一人ニヤリとしてしまったのも事実。最前線のヴァイオリン演奏を楽しむには、いいサンプルになるのではないかと。