音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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シベリウス:交響曲第4番 / オッコ・カム, ラハティ交響楽団 (2015 Hybrid SA-CD)

たまたまタワレコオンラインのセールで見つけたボックスセット。安価だったので買ってみた。例によって予備知識ゼロ。

まずは、と言うことでシベリウス交響曲の極北、第4番を聴いてみた。

驚いた。

そこで扱われているこの曲は、フラジャイルとしてのそれではなく、揺りかごに載せられ、穏やかに展開されているかのような感覚だった。

それをシベリウスの中にある母性と形容したら失笑されるだろうか。いやしかし、このカムとラハティ交響楽団によるシベ4は、音に対する眼差しが非常に穏やかなのだ。

これまで自分が聴いてきたこの楽曲には、冷たく暗い海へと入り行く世界観を持っていると言う点で共通しているものがあったのだが、ここで聴くことができるのはその厳しさのみの航海ではなく、大海原での穏やかなる航海、もちろん時に嵐の日もあるが、全ては母なる海とたおやかなしなりを持った船に守られているがごとくなのだ。

ここまで安心感を持って聴けるシベ4とは、本当に初めての経験。キリキリともしておらず、ギリギリと締め付けられる苦しさも薄い。あくまでも優しく穏やかに音が構築されていく様は、やはり先に述べた母性なるものを喚起させられるのだ。

これは他の曲への期待も高まる。「異質」とすると否定的に捉えられがちだが、ここでは肯定的にこの単語を使いたい。異質なシベリウス。何かこれまでとは大きく異なる、見たことのない世界がありそうな気がしてならない。