音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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シベリウス:交響曲第5番&第7番 / クラウス・マケラ, オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 (2022 96/24)

弱冠26歳。指揮者。クラウス・マケラ。

オスロ・フィルハーモニー管弦楽団を率いて、2021年にこのシベリウスの交響曲全集をレコーディング。噂には聞いていたのだけれども、実際に音を聴くまでは「若さが勝る指揮なのでしょう?」と思いこんでいた。

まずは聴くも演奏するも難解な第7番から。

実に明晰な指揮。自らの作り出すシベリウス像に溺れない客観性を持ち、これを指揮するという難役を掌中に収めて楽団をドライヴさせている。

若いからと言って現代的であることに過ぎることもない。オーソドックスであることすらも恐れないかのごとくの指揮、そして演奏。作り出す音に対するビジョンが明確であることは一目瞭然。

第5番は有機的。この楽曲特有のアニミズム的な抽象を保ったまま、しっかりと音に描き換えている。全体的な印象は第7番とそれほど大きな差はない。何を音にするかと言う図面がしっかりと描かれていることがよく分かる。

聴いていて軽く目眩をおぼえるほど。これが新時代の指揮者なのかと。21世紀に入り、正真正銘の21世紀の指揮者が現われたのかもしれない。

これは興味深い。非常に興味深い。

このシベリウス、もっともっと掘り下げて聴いてみたいと思わせる魔力がある。どっぷりとそこに漬かるフィジカルな力がまだ自分の中にないため、今晩はこの辺で。