今日の自分はヴァイオリン協奏曲のゾーンに入っている模様。午後はそればかりを聴いているような気がする。
そしてヒラリー・ハーンのこの作品を。去年リリースされてからずっと気になっていたものを、ようやく購入。クラシック音楽に足を踏み入れた際には好んで聴いていた記憶のあるヒラリー・ハーンなのに、こうもしばらく距離を置いていたのはなぜだろう。
ともあれ。
鋭くストイックに弾くと言う勝手な印象が、冒頭のドヴォルザークで吹き飛んだ。鋭さは確かにあるのだけれども、音の豊かさが勝っているように感じられた次第。その上でエッジがしっかりと効いているような。
ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲にはそれほど入れ込んでいなかったのだけれども、それを明快に解きほぐしてこちら側へと届けてくれた感がある。
続くヒナステラは最高にヒリヒリしている。言葉を発するならばシンプルに…格好よい。
この作曲家の存在は初めて知ったのだけれども、現代音楽でありながらも集中力を持って聴かせてくれるところが素晴らしいものであると。楽曲が持つ不穏な空気が、このアルバムがレコーディング、リリースされた前後の、あの世界の空気をそのままパッケージしたかのように思わせるところが、これまた選曲の妙であるかのようにも感じられた。
そしてヒナステラで思考の銀河の果てまで行ってしまったものを取り戻すかのように、サラサーテ。ある意味聴き慣れてしまった作品だと言うのに、どこかここから離れた高さに音が存在しているかのような演奏。音のほとりをさまよい歩いているかのごとく、サウダージ感までおぼえるほど。膾炙しているものを、そうではない次元と融合させているかのように。
総じて、なぜに今の今まで聴かずにいたのかこれを、と思わせる作品。それもまた音楽との巡り合わせのタイミングの問題なのでしょうけれどもね。