音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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シューマン:交響曲第1番「春」, 第4番 (1841年初稿) / フランソワ=グザヴィエ・ロト, ケルン・ギュルツェニッヒ管弦楽団 (2020 SACD)

なんだこれ!

第1番の冒頭でまず度肝を抜かれた。「なんだ、このテンポの遅さは」と。

何かヤバいものに手を出してしまったかのような戦慄が走ったのです。それも束の間、あっという間に凄まじい推進力でグイグイと曲が進んで行くではありませんか。ギアの入り方が、これまで経験したことのないシューマンの演奏。

「これは今、凄いものを聴いているぞ」と思いながら第4番に入ると、これまた力強い押し引きの応酬。音が駆け引きをしているのですよ。打ち寄せる波が勝つのか、岸辺に食らいつく砂が勝つのか。

あれよあれよという間に55分間の収録は終了。目を白黒させながら聴いておりました。

かといって奇抜な演奏では全くなく、これまたオーソドックスだと思わせる、その普遍性の高さ。

こんなシューマン、聴いたことがない!

色々な意味で、刺激的かつ挑戦的なシューマンでございました。これはクセになるぞ。