音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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シベリウス:交響曲第3番 / バルビローリ, ハレ管弦楽団 (1969/2021 FLAC)

廉価盤としてリリースされた本ボックスセット。手持ちのシベリウスの中では最も古い録音の部類になるものかな。リマスタの効果がおそらくずば抜けているのでしょう。音の見通しが非常にクリア。曲の構造もよく見える。

聴き始めた際には「やや平坦な演奏かな?」とも思ったのだけれども、それは早計。柔らかくトリートメントされた演奏が、シベリウスの交響曲を鮮やかに照らし出している。

これら録音は長らく定番とされてきたらしいのだけれども、その理由も分からないでもないかな。シベリウスを分かりやすく咀嚼した上で提示している感があるのだよね。

それが逆に違和感にも繋がるとも言えるけれども。「シベリウスってこんなに分かりやすくていいのかな?」と。

隠されたニュアンスが、もう少し隠されたままであってもよいのではないかと。全てが白日の下にさらされているようにも感じられるのだよね。先に述べた鮮やかさとは、そう言った意味合いでもあり。

もちろん素晴らしい演奏であるとは思うのです。クラシック音楽は指揮者と奏者と時代と録音等々との組み合わせで、幾通りにでも解釈が可能なのであって。

それらを並べて聴ける時代に生まれ、そして実際に聴いていることに、幸せを覚えたりもするわけですよ。